【ものさしを、渡せ】「他社はもう少し安い」で終わる社長へ|3行20分、値引きせずに決まる選び方チェック表つき


見積もりを出して3日後。電話が鳴って、相手はこう言います。「いい提案だったんですが、他社さんがもう少し安くて……」。

そのあと、あなたは頭の中で電卓を叩きます。5万円下げれば決まるかもしれない。でも、そこまでして取る仕事だろうか。下げるか、降りるか。毎回この二択で終わっていませんか。

決まらなかった理由は、提案の中身でも、あなたの金額でもありません。相手の手元に、値段のほかに比べるものが1つもなかったからです。用意するのにかかる時間は、20分です。

今日は、値引きをどう断るかの話ではありません。ものさしを、渡せ。相手が3社を並べて比べるときに使う「見る場所」を、こちらから紙にして先に渡す話です。AIに渡す材料は3行、手順1は10分で終わります。

相手は、あなたが帰ったあとに比べています

木曜の16時。相手の事務所の応接で、あなたは見積書を広げて説明を終えたところです。相手は最後まで熱心に聞いてくれました。そして、立ち上がりながらこう言います。

「ありがとうございます。一度、社内で比べてみますね」

このひと言のあと、あなたは車に戻ります。相手の机の上には、あなたの見積書と、他2社の見積書が並びます。合計3社。相手はその3枚を、順番に眺めます。

ここで相手がやっているのは、比較ではありません。探しものです。3枚の紙から、違いを探しています。

そして、違いは1か所しか見つかりません。金額です。

ものさしを、渡せ。そう言われても、自分に有利な項目を並べた紙を作るなんて、小細工くさいと感じるはずです。私も最初はそう思っていました。

比べる場所がなければ、人は数字を見ます

考えてみてください。あなたが自分の会社の火災保険を選ぶとき、3社のパンフレットを並べて何を見ますか。おそらく保険料です。補償の中身の差を、隅から隅まで読み比べる人はほとんどいません。

意地悪でも、勉強不足でもありません。人は、自分が判断できる場所でしか判断できないからです。工事の品質も、職人の腕も、段取りの良さも、相手には判断できません。判断できるのは、印刷された数字だけです。

だから相手は数字を見ます。そして、いちばん安い数字を指さします。これは、あなたの仕事が評価されなかったのではなく、評価される場所が用意されていなかった、というだけの話です。

「うちは仕事が丁寧です」は、3社とも書いています

商談の最後に、あなたがきまって口にしているセリフが、もう1つあります。おそらく今週も、どこかで言っているはずのひと言です。

「うちは、仕事が丁寧なので」

言いたいことは分かります。実際に丁寧なのでしょう。ですが、その日の相手は同じセリフを3回聞いています。丁寧ではない、と言いながら見積書を出す会社は存在しないからです。

「地域密着」「アフターも安心」「創業◯年」。この3つも同じです。全社が書くことは、比べる材料になりません。相手の頭の中では、3社とも同じ欄に丸が付いて、そのまま消えます。

残るのは、やはり金額です。

値引きは、いちばん早く効いて、いちばん高くつきます

ここで多くの社長が最後に言うセリフが、これです。

「じゃあ、5万だけ下げます」

その場では効きます。決まることもあります。問題は、そのあとです。5万円下げて取った仕事は、来年も5万円下げないと取れません。相手の頭の中で、あなたの会社の値段は「言えば下がる値段」として記録されたからです。

しかも下げた5万円は、粗利からそのまま消えます。材料費も職人の手間も1円も減っていないので、減るのはあなたの取り分だけです。

そのまま比べられ続けると、1年で120万円が消えます

数字にしてみます。

1件あたり5万円の値引きを、月に2件。それだけで年間120万円です。これは売上ではなく、まるごと利益から出ていくお金です。粗利率20%の会社なら、600万円を新しく売り上げて、やっと取り返せる金額です。

消えているのはお金だけではありません。決まらなかった案件の数も一緒に消えています。見積もりを作るのに2時間、現地を見に行って移動込みで3時間。5時間かけて負けた案件が月に2件あるなら、年間120時間です。丸15日、値段で負けるために働いた計算になります。

そして、いちばん大きいのは失う機会のほうです。値引きを飲んでくれる会社だと分かった相手は、次も値引き前提で声をかけてきます。値引きを断る会社には、値引きを前提にしない相手が残ります。1年経つと、この2つはまったく違う客層になります。

「他社より1円安く出す」は、傷を広げます

この状況で、よく取られる対処が2つあります。どちらも状況を悪くします。

1つ目は、他社より1円でも安く出すやり方です。これをやると、相手は「この会社は聞けば下がる」と学習します。次回、相手はまず他社に見積もりを取り、その数字を持ってあなたのところへ来ます。あなたは他社の下に潜り続けることになり、いつか潜れなくなって終わります。

2つ目は、金額は変えずに無料サービスを1つ足すやり方です。「では、アフター点検を1回サービスで」。優しい対処に見えますが、これは「その作業はタダでいい」と自分で宣言したのと同じです。来年から、その点検にお金は取れません。

どちらも、値段の勝負から降りずに、値段の勝負を続けているという点で同じです。

3つ目に多いのが、見積書を厚くするやり方です。説明資料を足して10ページにする。写真を増やす。会社案内を同封する。熱心さは伝わりますが、比べる場所は1つも増えていません。相手は10ページを読んだあと、結局いちばん後ろの合計金額を見ます。紙の量を増やしても、ものさしは増えません。

これ、お客さんが値段しか見ていないわけじゃないです

ここは分けて考えてください。

相手は、値段だけで決めたいわけではありません。むしろ逆で、多くの発注者は「安物をつかまされること」を恐れています。判断を間違えたら、自分が社内で責められるからです。

本当は、値段以外の場所で選びたい。でも、値段以外の見る場所を誰も教えてくれない。だから仕方なく、いちばん確実に比べられる数字を見ている。それだけです。

つまり、足りていないのはあなたの提案力ではなく、相手が使う”ものさし”です。そして、そのものさしは、相手には作れません。業界の中身を知らないからです。作れるのは、あなたしかいません。

業者は値段で比べられ、先生は比べ方を決めます

私は学生の頃、飛び込み営業をやっていました。興味のない人に頭を下げて、断られ続ける仕事です。あのとき決めたのは1つだけです。

二度と自分から売り込みはしない。欲しい人が向こうから「お願いします」と来る仕組みを作る。

その後、未経験からリフォーム業に参入して、営業マンを1人も雇わないまま年商4.8億円、経常利益10%以上、年間1000件規模の問い合わせをWebから取れるところまで来ました。建築・内装工事の会社では、ネットからの反響が年間12件だった状態から、毎月何かしら案件が入る状態まで変わりました。Web知識ゼロの在宅パートの主婦が、月100円のコストで作ったサイトから問い合わせが入ったこともあります。

私はこれを、20歳の頃にパソコンスクールで初心者に教えていた延長でやっています。特別なセンスの話ではありません。

その中でずっと言い続けているのが、これです。

業者になるな、先生になれ。

業者は、言われたとおりの見積もりを出して、他社と並べられて、値段で比べられます。先生は、「そもそも、どこを見て選ぶべきか」を教えます。この違いです。医者にかかったとき、あなたは病院を値段で比べますか。比べないのは、医者が「見る場所」をこちらに教えてくれるからです。

松竹梅の一歩手前に、これを置いてください

私は普段、松竹梅の3案で見積もりを出すことをすすめています。梅・竹・松の3つを自社で出せば、相手は他社と比べるのではなく、自社の中のどれにするかを考え始めるからです。

今日の話は、その一歩手前に置くものです。松竹梅が「うちの中で選んでもらう」ための道具だとすれば、今回の1枚は「そもそも、何を見て選ぶのか」を相手の手に握らせる道具です。順番としては、こちらが先です。見る場所が決まっていない相手に3案を出しても、いちばん安い梅を指さされて終わります。

やることは、たった一言でまとめられます。

値段を下げるのではなく、見る場所を5つに増やす。

相手が見る場所が1つ(金額)しかないから、金額で負けます。見る場所が5つあれば、5つのうち4つで勝っている会社が選ばれます。これは小細工ではありません。発注者が本当のところで不安に思っていることを、先に紙にして見せるだけです。

勘違いしてほしくないのは、これは「うちを選んでください」とお願いする紙ではない、ということです。お願いはしません。やっているのは、相手が判断に使う道具を1つ増やすことだけです。

発注者の立場になれば分かります。工事や制作の発注は、年に何度もやることではありません。相手は素人です。素人が3社の紙を前にして、不安なまま金額を指さす。そこに「この5つを聞けば、だいたい分かりますよ」という紙が1枚あるだけで、相手は初めて自分の頭で選べるようになります。選ばせてあげた人が、いちばん最後に信用されます。

やることは3つだけです。

1. あなたの会社が当たり前にやっているのに、見積書には1行も書いていないことを洗い出す

2. それを、相手が3社に同じ質問をぶつけられる5つの項目に整える

3. 見積書と一緒に、紙1枚で渡す

この3つを、AIに手伝わせて20分で作ります。

「他社を落とす紙」にはしません

先に、はっきりさせておきます。この1枚に、他社の名前は一切書きません。「A社は◯◯ができません」のような書き方も一切しません。

書くのは、「この工事を頼むなら、どの会社にでもこの5つを聞いてください」という形です。他社にも同じ質問をしてもらって結構です、という立場で出します。

そのほうが強いからです。他社を落とす紙は、読んだ相手に「必死だな」と思われます。どこに聞いてもらってもいい、という顔で出せる会社が、いちばん信用されます。 集客は説得ではなく、選別です。この5つの質問で他社が勝つなら、その仕事はもともとあなたの仕事ではありません。

渡した日から、「検討します」の中身が変わります

実際に何が変わるのか、先に見ておきます。

項目1枚がないとき1枚を渡したあと
相手が見る場所金額1か所5か所
提出から返事まで7日(他社待ち)2日
1件あたりの値引き5万円0円
「他社さんは安くて」の回数月3回月0〜1回
相手が社内で言う言葉「ここがいちばん安いです」「ここが、聞いた5つに全部答えてます」
断られたときの理由不明(音信不通)項目のどれで外れたかが分かる

いちばん大きく変わるのは、最後の2行です。

これまで相手が社内で言っていたのは「ここがいちばん安かったので」でした。この言い方だと、あとから1円安い会社が現れた瞬間にひっくり返ります。1枚を渡したあとは、こうなります。

「この項目、他社さんにも同じことを聞いてみます」

こう言われたら、その商談はもう金額だけの勝負ではありません。あなたが決めたものさしの上で、3社が比べられているからです。

そして、この1枚は一度作れば次の案件でも使えます。業種や工事が変わっても、差し替えるのは中の答えだけです。毎回その場で「うちは丁寧です」と言っていた説明が、置いておくだけの紙に変わります。

この1枚は、あなたがいない場所で働きます

もう1つ、見落とされがちな効果があります。

見積書を受け取った担当者は、たいてい一人では決めません。社長に見せる、家族に相談する、本部に上げる。つまり、最後に決めている人は、あなたが会っていない人です。その場にいないあなたの代わりに説明するのは、机の上に残った紙だけです。

金額だけの見積書を渡していると、その人はこう説明します。「A社が180万、B社が160万です」。これでは安いほうが選ばれます。5つの項目がある紙が一緒に回れば、説明はこう変わります。「A社は、追加費用が出る条件まで先に出してきました」。

あなたが帰ったあとの会議で、あなたの代わりにしゃべってくれる紙を1枚置いてくる、ということです。

値引きをしなくなれば粗利が残り、粗利が残れば広告費や職人の手間に回せます。相見積もりの土俵から降りられれば、決まらなかった案件を追いかける電話も要らなくなります。

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この先で手に入るもの

ここから先は、その「選び方の1枚」を実際に作る手順です。読み終わったときに、次に出す見積書へ同封できる1枚が手元にできている状態を目指しています。所要時間は、手順1が10分、手順2が7分、手順3が3分の合計20分です。

  • そのままコピペして使える指示文 2本(材料3行から5つの項目を作らせる指示文/「どこの会社でも同じ答えになる項目」を落とさせる指示文)
  • 材料3行の書き方と記入例 1表(架空の内装工事会社の例つき)
  • 5項目の書き分け 1表(使えない質問/使える質問を型ごとに並べたもの)
  • 渡すタイミングと言い方のひな型(見積書に同封するときの一文つき)
  • 渡す前の確認 4項目
  • やってはいけない、4つの書き方(他社の扱いと、数字の扱いを含む)

この1枚を外に頼んで作ってもらえば、数万円はかかります。値引きを1件断れただけで、元は取れる程度の話です。

向いている人:相見積もりで3社に並べられることが多い方。「他社さんはもう少し安くて」と言われた経験がある方。金額を下げずに決めたい方。自社が当たり前にやっていることを、うまく説明できないと感じている方。

向いていない人:値段で勝つ戦い方を続けると決めている方。「うちは仕事が丁寧です」で伝わるはずだと考えている方。手順を読んでも、次の1件で実際に渡してみない方。この記事は、次に出す見積書1件で試す人のために書いています。

【手順1】3行だけ、AIに渡してください(10分)

最初に作るのは1枚ではありません。材料の3行です。ここだけは、AIには書けません。あなたの現場の中にしかない情報だからです。

  • 所要時間:10分
  • 入力:あなたが書く3行
  • 出力:選び方の1枚の骨組み(5項目)
書くこと例(架空の内装工事会社)
1行目直近で金額を理由に決まらなかった案件1件(相手の業種・規模・おおよその金額帯)福岡市内の飲食店。15坪の内装改修。見積もり180万円。他社が160万円で決着
2行目うちが当たり前にやっているのに、見積書には1行も書いていないこと3つ着工前に近隣3軒へ挨拶に回る/工事中は毎日夕方に写真をLINEで送る/引き渡し後3か月で1回見に行く
3行目うちが受けない仕事・向いていない相手図面も現地確認もなしで金額だけ先に出す依頼/工期を極端に詰める依頼は受けない

3行目が今回の肝です。ここを書かないと、AIは「どんなご要望にも対応します」という、どこにでもある紙を出してきます。受けない仕事を書いてある紙は、それだけで信用されます。 全部やりますと書いてある紙は、何もやらないのと同じに読まれるからです。

2行目は、格好をつけずに書いてください。「品質管理の徹底」ではなく「毎日夕方に写真をLINEで送る」です。相手が確認できるのは、後者だけです。

パソコンの前で悩む必要はありません。スマホの音声入力で、3行ぶんを話してしまって構いません。キーボードを叩くのは、ここでは目的ではありません。

そのままコピーして使えます。◯の部分だけ差し替えてください。

あなたは、発注者が複数社から見積もりを取るときに使う「選び方の基準」を整理する担当者です。以下の3行をもとに、発注者がそのまま読めるA4・1枚の文章を作ってください。

1行目(決まらなかった案件):◯◯

2行目(当たり前にやっているのに見積書に書いていないこと3つ):◯◯

3行目(受けない仕事・向いていない相手):◯◯

条件:

①読む人は発注者本人。「◯◯工事を頼むときに、確認したい5つのこと」という立場で書く

②5つの項目は、発注者がどの会社にも同じ質問としてぶつけられる形にする。自社の宣伝文にしない

③5つのうち1つは「この工事を頼まないほうがいい場合/当社が向いていない場合」にあてる

④他社名・他社の批判・「業界にはこういう悪い会社がいます」といった書き方は一切しない

⑤全体で800文字以内。1項目は3行以内。専門用語は使わない

⑥金額・年数・実績件数・保証期間は、私が渡していない数字を作らない。必要な箇所は【要確認】と書いて空欄にする

⑦最後に、この5項目のうち「どの会社でも同じ答えになりそうな項目」を指摘する

確認①:出てきた文章に【要確認】が1つもなければ、疑ってください。AIが保証年数や実績件数を推測で埋めています。数字と社名は、自分の目で確かめてください。たたき台はAI、最終判断は人間です。

【手順2】「どこも同じ答えになる項目」を落としてください(7分)

手順1で出てきた5項目を、そのまま渡してはいけません。ここが、いちばん差がつくところです。

  • 所要時間:7分
  • 入力:手順1の出力
  • 出力:入れ替え済みの5項目

判断の基準は1つだけです。その質問を3社にぶつけたとき、3社とも同じ答えになるなら、その項目は使えません。

項目の型使えない例使える例
範囲「丁寧に施工しますか」「この見積もりに入っていないものを、3つ挙げてもらえますか」
体制「対応は安心ですか」「工事中、現場に毎日来るのは誰ですか。連絡先は誰ですか」
事前「しっかり打ち合わせしますか」「契約前に、現地を見て図面に起こすところまでやってもらえますか」
追加費用「追加料金はありますか」「追加料金が出るのは、どんなときですか。決める前に連絡は来ますか」
適性「実績は豊富ですか」「この工事で、お宅が向いていないのはどんなケースですか」

右側の列を見てください。どれも、はい・いいえで終わらない質問になっています。いい加減な会社ほど答えに詰まり、ちゃんとやっている会社ほどすらすら答えられる。答えの中身ではなく、答えられるかどうかで差が出る質問を選ぶ、ということです。

5つ目の「向いていないケース」は、外さないでください。ここが入っていると、紙全体の性格が変わります。売り込みの紙ではなく、選ぶのを手伝う紙になります。そして、ここで自分から手を挙げて降りた案件は、もともと受けても利益が残らない案件です。

2本目の指示文です。手順1の出力を貼ってから使ってください。

先ほど作った5項目を、次の基準で厳しく見直してください。

①同じ質問を同業3社にぶつけたとき、3社とも同じ答えになりそうな項目を指摘し、差し替え案を出す

②「はい/いいえ」で終わる質問を、「◯◯を3つ挙げてください」「どんなときに◯◯になりますか」の形に書き換える

③5つ目は「当社が向いていないケース」にあてる。ここは自社に不利な内容でよい

④宣伝文句(丁寧・安心・地域密着・実績多数)を全部削る

⑤書き換えたあと、発注者が読んで「これは他社にも聞いてみよう」と思うかどうかを5段階で自己採点し、3以下の項目は作り直す

確認②:書き換え後の5項目を、声に出して読んでみてください。自分の会社が全部の項目で満点になっているなら、まだ甘いです。1つか2つは「うちは、ここは苦手です」と正直に書ける項目を残しておいてください。全項目で自社が勝つ紙は、読んだ瞬間に宣伝だと分かります。

【手順3】見積書と一緒に渡してください(3分)

作った1枚は、渡すタイミングを間違えると効きません。

  • 所要時間:3分
  • 入力:手順2の5項目
  • 出力:渡し方の決定

渡すのは、見積書を出すのと同じタイミングです。商談の場で口頭で説明した直後か、見積書をメールで送るときに一緒に添付します。

先に渡しすぎると、ただの資料として流されます。あとから渡すと、負けたあとの言い訳に見えます。相手が3社の紙を並べて比べる、まさにその瞬間に机の上にある状態にするのが正解です。

添える言葉は、これだけで足ります。

「お見積もりと一緒に、業者を選ぶときに確認していただきたい5つを付けています。うちだけでなく、他の会社さんにも同じことを聞いてみてください」

この一文が言えるかどうかが、すべてです。他社にも聞いてくださいと自分から言える会社は、それだけで相手の頭の中の位置が変わります。売り込みに来た業者から、選び方を教えてくれた人に変わります。

ファイル名も決めておいてください。「見積書_◯◯様」の隣に「内装工事を頼む前に確認したい5つのこと」というPDFが並びます。相手が社内の誰かに転送するとき、この名前のまま回ります。

作った1枚は、そのまま自社サイトの1ページにもなります。「◯◯工事の選び方」というページとして置いておけば、まだ会っていない人にも同じものさしが届きます。紙は渡した人にしか届きませんが、サイトに置いた1ページは24時間働き続けます。SNSの投稿は流れて消えますが、これは積み上がるほうの資産です。

渡す前に、4か所だけ確認してください

出したあとでは直せません。この4つだけ、目で追ってください。

1. 他社の名前・批判が1文字も入っていないか。「よくある悪質な業者は」という書き出しも含みます。比較ではなく、質問の形になっているかを見ます

2. 数字が全部、自分の口から出たものか。保証年数、実績件数、創業年、対応エリア。AIが埋めた数字が1つでも残っていたら、その場で消してください。数字はAIに決めさせない、これだけは例外なしです

3. 5つ目に「向いていないケース」が残っているか。手順2でせっかく書いたのに、清書のときに消してしまう人がいます。ここが紙の背骨です

4. A4で1枚に収まっているか。2枚になった時点で、相手は読みません。1項目3行、全体800字を超えたら削ってください

やってはいけない、4つの書き方

1. 他社を落とす書き方をしない。「安い会社には理由があります」は、書いた瞬間に価格の話に自分から戻っています。書くのは質問だけです

2. 数字を盛らない。「施工実績5000件」「満足度98%」のような、根拠を出せない数字は入れません。必ず、絶対、地域No.1も同じです。言い切れない数字は書かないほうが、紙全体の信用が上がります

3. 相手の会社名・図面・他社の見積書をAIに入れない。手順1で渡すのは、あなたの会社の中身だけです。相手の社名は「福岡市内の飲食店」まで、金額は帯で十分です。人から預かった情報を入力欄に貼らない、これは守ってください

4. 5項目を全部「うちが勝つ形」に作らない。全勝する紙は、読んだ相手に狙いが見えます。1つか2つ、正直に苦手を書いてある紙のほうが、残りの3つが信じられます

一人で回らないときは、ここで止まっています

手順どおりにやっても、手が止まる場所はだいたい決まっています。「当たり前にやっていること3つ」が思い浮かばない、という場所です。

自分の現場は、自分には見えません。毎日やっていることほど、価値があると思えないからです。ここは、誰かに横から聞いてもらったほうが早く出ます。

この記事の中盤に置いた無料の7大特典(AI超入門、話すだけ音声入力、コピペで使えるプロンプト15選ほか)は、その「自分では見えない当たり前」を言葉にするところから使えます。先にそちらを受け取って、音声入力で話しながら3行を埋めるのがいちばん早い進め方です。

それでも一人で進まない方のために、AIスモビジ実践会をやっています。動画を見て終わりにならないよう、業務の棚卸しからグループで伴走する形です。パソコンが苦手な方でも、AI以前のところから一緒に整えます。ただし、本気で自社を変える人だけに来てほしいと思っています。誰でも歓迎ですとは言いません。

今日の3つの手順を全部やり切ると、明日あなたの手元には、次の見積書に同封できる1枚があります。次の商談で相手に渡せば、相手はその5つを持って他社にも聞きに行きます。あなたが決めたものさしの上で、3社が比べられる状態になります。そこから先は、値段を下げる商談ではなくなります。

まとめ|次に出す見積書1件で、試してください

今日の話を、短くまとめます。

  • 相手は値段しか見ていないのではなく、値段しか比べる場所がなかった
  • 「丁寧」「安心」「地域密着」は、3社とも書いている。比べる材料にならない
  • 値引きは、いちばん早く効いて、いちばん高くつく。1件5万円×月2件で、年120万円が粗利から消える
  • 作るのは材料3行 → 5つの項目 → A4・1枚。20分で終わる
  • 5つ目には「うちが向いていないケース」を入れる。降りられる会社が、いちばん信用される

今日やることを1つだけ決めてください。次に出す見積書1件に、この1枚を同封する。それだけです。全案件でやる必要はありません。1件で試して、相手の反応を見れば分かります。

値段を下げるか、降りるか。その二択で終わるのは、比べ方を相手任せにしているからです。ものさしを、渡せ。 比べ方をこちらが決めた瞬間に、あなたは業者から先生に変わります。

やるかやらないか、それだけの話です。

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