最近、「AIでスライドが一瞬で作れる」という話、よく見かけますよね。
実際にやってみた社長さんも多いと思います。ChatGPTに頼んだら、写真みたいにきれいな提案書が出てきた。これはすごい、と。
でも、そのあとです。
お客さんから「すみません、金額だけ変えてもらえますか」と連絡が来る。
担当者の名前が1文字違っていた。
日付を来月に直したい。
直そうと思ってファイルを開いたら、文字をクリックできない。
スライドが丸ごと1枚の画像になっていて、1文字も直せないんです。
仕方なく、もう一度AIに頼む。すると今度はデザインも文章も前と変わってしまって、また一から確認し直し。30分、40分と消えていく。
「AIで楽になるはずが、直すたびに作り直している」
これ、AIが悪いわけではないです。最初の「出し方」と「残し方」を決めていないだけです。
だからこの記事では、AIで作ったスライドを「あとから文字も数字も5分で直せる形」にしておく方法を、手順だけでまとめました。
やることは2つだけです。
- 出す形式を1つ選ぶ
- 原稿をテキストで手元に残す
新しいツールの勉強はいりません。今使っているAIのままで大丈夫です。
AIスライドの本当の手間は、「作る」より「直す」です
まず、ここを整理しておきます。
提案書は、出してから何度も直します
1回作って、1回出して、終わり。そういう資料はほとんどないです。
- 金額を変えてほしいと言われる
- 相手の社名・担当者名を直す
- 日付や工期を差し替える
- 別のお客さん向けに、同じ提案を使い回す
- 松竹梅の3案に分けて出し直す
私自身、リフォーム事業と印刷業を営業マンなしで回してきましたが、提案書は「作る」より「直して出し直す」回数の方がずっと多いです。
つまり、AIで一番時間を減らすべきなのは、1回目の作成じゃなくて、2回目以降の修正なんですよ。
ここ、かなり大事です。
「1枚まるごと画像」のスライドがある
私も以前、YouTubeの収録でChatGPT・Claude・NotebookLM・Manusの4つにスライドを作らせて比べたことがあります。
そのとき、ChatGPTに「画像入りで作って」と頼んだら、1枚ずつのクオリティがめちゃくちゃ高いスライドが出てきました。これがそのまま使えたら一番いい、と思ったくらいです。
ところが、それをCanva用に変換してもらって開いてみると、スライド1枚が丸ごと1個の画像になっていました。文字だけ直したくても、そこだけ触れない。細かく修正するのは正直、厳しいです。
見た目は最高。でも直せない。
これが、AIスライドでいちばん多い落とし穴です。
作り直すと、別物が出てきます
「直せないなら、もう一回AIに作らせればいい」
そう思いますよね。でも、同じ指示を出しても、AIは毎回少しずつ違うものを出してきます。
言い回しが変わる。順番が変わる。前回OKをもらった表現が消えている。
結局、全ページを最初から読み直して確認することになります。金額1か所を直すために、30分かけて全体をチェックし直しているわけです。
正直、時間の無駄です。
結論|原稿が本体、スライドは「印刷物」です
では、どうすればいいか。
考え方を1つだけ変えてください。
スライドは完成品じゃないです。原稿を印刷したものです。
昔、印刷の仕事をしていたときの感覚で言うと、チラシを刷り直すときに直すのは「刷り上がった紙」ではなく「元の原稿データ」です。紙に修正液を塗る人はいないですよね。
AIスライドも同じです。
手元に残すのは2つだけ
残しておくのは、この2つのテキストだけで足ります。
| 残すもの | 中身 | 目安 |
|---|---|---|
| 前提メモ | 誰に・何のために・何を決めてほしいか | 5〜7行 |
| 本文原稿 | スライド1枚ごとの見出しと本文 | 10〜15枚分 |
この2つさえ手元にあれば、スライドが画像になっていても、ツールが変わっても、何度でも同じ中身で出し直せます。
私がスライドを作るときも、前提の整理をしたファイルを1つ作り、次に本文を作り、最後にスライドを生成させる、という順番にしています。本文は、スライドの区切りや強調を書き込める「マークダウン」という形式のテキストファイルです。難しく聞こえますが、中身はただの文字です。
見た目の良さより、直せるかどうか
外に出す提案書で優先するのは、見た目じゃなくて直せるかどうかです。
きれいでも、金額を直せない資料は、商談の途中で使えなくなります。
多少地味でも、その場で直せる資料は、何回でも使えます。
デザインよりも数字を見る。私がずっと言っていることですが、スライドでも同じです。
【手順1】出す形式を1つ決める(5分)
最初にやるのは、「どの形式で受け取るか」を決めることです。
形式ごとの「直せる・直せない」
| 受け取る形式 | 文字を直せるか | 向いている用途 |
|---|---|---|
| 画像(1枚絵) | 直せない | 表紙・挿絵・SNS用の1枚 |
| ほぼ直せない | 最終版を送るとき | |
| PowerPoint(PPTX) | 直せる | 社外向けの提案書・見積もり説明 |
| Googleスライド | 直せる | 社内共有・スマホからの修正 |
| Canva(文字が分かれている状態) | 直せる | 写真やイラストを足したい資料 |
ポイントは、PDFは「送るとき」の形式で、「持っておく」形式じゃないということです。
手元には、PowerPointかGoogleスライドかCanvaで持っておく。お客さんに送る直前にだけPDFにする。この順番にしておけば、金額が変わっても5分で出し直せます。
外に出す提案書は「直せる形式」一択です
迷ったら、こう決めてください。
- お客さんに出す提案書・見積もり説明 → PowerPoint
- 社内で回す資料・手順の説明 → Googleスライド
- 写真やイラストで見せたいチラシ寄りの資料 → Canva
1つに決めたら、しばらく変えないでください。形式がバラバラだと、どこに何があるか分からなくなって、結局また作り直すことになります。
使っているAIごとの出し方
私が試した範囲での印象です。機能は頻繁に変わるので、最終的には画面で確認してください。
- ChatGPT:画像入りのスライドはとてもきれい。ただし、画像で作ったものは丸ごと1枚になりやすいので、「文字は画像にせず、PowerPoint形式で、文字を編集できる状態で」と一言添える
- Claude:デザイン機能のスライド作成から、PDF・PowerPoint・Canvaの形式で出せた。あとから直す前提ならいちばん使い勝手がいい。ただ、この出力レベルを求めると上のプランが必要な感触
- NotebookLM:無料で、見た目の整ったスライドが出てくる。一度に全部作らせるより、「何ページ目から何ページ目までだけ作って」と分けて作らせると扱いやすい。右下にサービス名の表記が入るので、社外向けに使う前には確認を
- Manus:その場で直接編集できるのが強み。追加で課金してもいい人向け
どれを使うにしても、指示の最後にこの一文を足すだけで、あとが楽になります。
文字はすべて編集できる状態で出してください。スライド全体を1枚の画像にしないでください。
【手順2】原稿を「1つのテキストファイル」で残す(10分)
次に、原稿を残します。ここがこの記事でいちばん大事なところです。
すでに作ったスライドからも、原稿は取り出せます
「もう画像のスライドを作ってしまった」という方も大丈夫です。
画像になったスライドでも、AIに読ませれば文字を書き出してくれます。スライドの画像やPDFをそのままAIに渡して、次の指示文を貼ってください。
添付したスライドの文字を、1枚ずつ書き出してください。
形式は「スライド番号/見出し/本文」の順にしてください。
読み取れなかった文字や、自信のない数字には【要確認】と付けてください。
内容を要約したり、言い換えたりしないでください。書かれている文字のまま出してください。
「言い換えないでください」の一行が大事です。これを入れないと、AIは親切心で文章を整えてしまい、お客さんに見せた文面と違うものが残ります。
出てきた原稿は、特に数字・社名・日付を、元のスライドと突き合わせてください。AIは文字を読み違えることがあります。ここは社長の目で確認するところです。
ファイル名と置き場所を決めておく
原稿は、スライドと同じフォルダに置いてください。
ファイル名は、こう決めておくと迷いません。
日付_相手の会社名_中身_原稿
例:20260911_A社_外壁塗装ご提案_原稿
「どこに保存したか分からない」で止まる方、実はかなり多いです。AIどうこうの前に、ここで止まっているんですよね。フォルダを1つ作って、スライドと原稿を必ずセットで入れる。これだけで探す時間がなくなります。
新しく作るときは、原稿から先に作る
これから作るスライドは、最初から原稿を先に作ってください。
以下の前提をもとに、スライド12枚分の原稿を作ってください。
まだスライドにはしないでください。
1枚ごとに「見出し(13文字以内)/本文(3行以内)」で書いてください。
金額・日付・数量は私が入れるので、【要確認】と書いておいてください。
原稿を確認して、OKが出てから「この原稿をPowerPoint形式のスライドにしてください」と頼む。この順番なら、スライドが気に入らなくても原稿は無事です。
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【手順3】直すときは、スライドではなく原稿を直す(5分)
さて、お客さんから「金額を変えてほしい」と連絡が来ました。
ここで、どこを直すかを決めておきます。
変更の大きさで、直す場所を分ける
| 変更の内容 | 直す場所 | かかる時間 |
|---|---|---|
| 金額・日付・名前など数か所 | スライドを直接(PowerPoint等) | 3〜5分 |
| 1〜2枚の文章を差し替え | 原稿を直して、その枚だけ作り直し | 10分 |
| 構成や順番が変わる | 原稿を直して、全体を作り直し | 15〜20分 |
小さな変更は、スライドで直接直す。大きな変更は、原稿を直してから作り直す。
どちらの場合も、直したら原稿の方にも同じ変更を反映しておく。これを忘れると、次に使い回したときに古い金額が出てきます。
AIに直させるときは「変えないもの」を先に言う
AIに修正を頼むときは、この指示文を使ってください。
以下の原稿のうち、次の3か所だけを変えてください。
・4枚目の金額を「税込88万円」に変更
・1枚目の日付を「2026年10月」に変更
・担当者名を「山田様」に変更
それ以外の文字は、1文字も変えないでください。変えた箇所だけを最後に一覧で示してください。
「それ以外は1文字も変えないでください」。これを入れるだけで、AIが勝手に全体を書き換える事故がほぼなくなります。
さらに「変えた箇所を一覧で」と頼んでおけば、確認は一覧を見るだけで済みます。全ページを読み直す30分が、1分になります。
直した記録を、原稿の最後に1行だけ残す
もう一つ、地味ですが効く小技があります。
原稿の一番下に、直した日と中身を1行だけ書き足しておいてください。
9/11 金額を税込88万円に変更(A社・山田様の依頼)
9/15 工期を10月上旬に変更
これがあるだけで、「前に出したのはどっちの金額だったか」で迷わなくなります。お客さんから「最初の見積もりと違いませんか」と聞かれても、その場で答えられます。
ファイル名も同じです。上書きせずに、末尾に「_v2」「_v3」と付けて保存する。古い版を消さずに残しておけば、「やっぱり前の案で」と言われたときに1秒で戻れます。
こういう細かい仕組みを、面倒くさがらずに最初に決めておく。脳に汗をかくのは最初の1回だけです。
数字だけは、AIに決めさせないでください
一つだけ、はっきり言っておきます。
金額・数量・工期・寸法は、AIに計算させたり、推測させたりしないでください。AIは計算機じゃないです。それっぽい数字を平気で出してきます。
数字は必ず社長が入れる。AIには【要確認】の印を付けさせる。たたき台はAI、最終判断は人間。この線引きだけは崩さないでください。
画像は「あとから差し込む」と決めておく
「でも、ChatGPTの画像入りスライドはきれいなんですよ」
分かります。私もそう思います。
だから、画像を捨てる必要はないです。使う場所を分けるだけです。
画像は、表紙と挿絵だけに使う
- 表紙の1枚
- 各章の頭に入れるイメージ画像
- 施工前後を説明する図解
こういう「文字を直す必要のない場所」だけ、画像で作る。本文や金額が入るページは、文字を編集できる形式で作る。
この分け方をしておけば、見た目の良さと直しやすさを両立できます。
画像はCanvaで差し込むのがいちばん楽です
文字だけのスライドをPowerPointかCanvaで持っておいて、画像生成AIで作った挿絵を後から貼る。これが一番シンプルです。
画像は差し替えも簡単です。季節が変われば、表紙の画像だけ変えればいい。中身には1文字も触れずに済みます。
施工事例の写真だけは、AIに作らせない
ここは線を引いておきます。
イメージ画像や挿絵はAIで作って構いません。でも、「うちが実際にやった仕事」として見せる写真は、必ず本物の現場写真を使ってください。
AIで作った“それっぽい施工写真”を事例として載せるのは、お客さんをだますのと同じです。デザインでお客さんはだませません。最後は中身で選ばれます。
スマホで撮った現場写真で十分です。多少暗くても、本物の写真の方がずっと信用されます。
案件ごとに作り直さない|「差し替える場所」を先に決める
ここまでできたら、次は使い回しです。
1本の提案書で、案件ごとに変わるのは5か所だけです
同じ種類の仕事なら、提案書の中身の大半は共通です。案件ごとに変わるのは、たいていこの5か所です。
| 差し替える場所 | 例 |
|---|---|
| 相手の名前 | 会社名・担当者名 |
| 日付・工期 | 提出日・着工予定 |
| 現状と課題 | 現場で聞いた困りごと |
| 金額 | 松竹梅の3案の金額 |
| 写真 | 現場写真・施工事例 |
原稿のこの5か所に、最初から【差し替え】と印を付けておいてください。
次の案件では、AIにこう頼むだけです。
この原稿の【差し替え】の部分だけを、以下のメモの内容に入れ替えてください。それ以外は変えないでください。
1回目は30分かかっても、2回目からは5分で次の提案書の原稿ができます。
松竹梅の3案も、原稿を分けて作る
私はずっと「見積もりは松竹梅で出しなさい」と言っています。
予算重視の梅、ご要望通りの竹、プロとして勧める松。3案を出すと、お客さんは他社と比べるのではなく、あなたの3案の中で選ぶようになります。
原稿を残しておけば、この3案づくりも楽です。竹の原稿をコピーして、範囲と金額だけ差し替えれば梅と松ができます。スライドで3回作るより、原稿で3回直す方がずっと早いです。
業者になるな、先生になれ。3案を当たり前に出せる会社は、それだけで「先生」として見られます。
AIに任せる部分と、社長が決める部分
ここで一度、役割を整理しておきます。
| 工程 | 担当 | ポイント |
|---|---|---|
| 前提メモ | 社長 | 5〜7行。スマホに話すだけでいい |
| 本文原稿のたたき台 | AI | 見出し13文字・本文3行 |
| 数字・金額・日付 | 社長 | AIには【要確認】を付けさせる |
| スライド化 | AI | 編集できる形式で出させる |
| 最終確認 | 社長 | 数字・社名・日付を声に出して読む |
| 画像・挿絵 | AI+Canva | 文字を直さない場所だけ |
キーボードが苦手なら、前提メモは打たなくていいです。スマホの音声入力で話して、AIに渡せば十分です。
つまずくのは、たいていこの3つです
最後に、よくあるつまずきを先に潰しておきます。
①新しいAIが出るたびに、形式を変えてしまう
AIは毎月のように新しいバージョンが出ます。先日もClaudeの上位モデルが4.7から4.8に上がり、文章や書類を作る力も良くなったと発表されていました。
こういうニュースが出るたびに、ツールを乗り換えて一から作り直す。これ、マジでやめた方がいいですよ。
原稿を残しておけば、新しいAIが出た日にやることは「同じ原稿を渡してみる」だけです。良ければ使う、ダメなら戻る。原稿がある会社は、AIの進化をタダで受け取れます。
正直、全部追いかけなくていいです。
②見た目から直し始める
色やフォントが気になって、中身が固まる前に見た目をいじり始める。そして中身が変わって、また見た目を直す。
中身が先、見た目は最後です。原稿でOKが出るまで、スライドにしないでください。
③原稿をメールの添付でしか持っていない
「前に送った提案書、どこにあったかな」とメールを遡る。これもよく見ます。
手順2で決めたフォルダに、スライドと原稿をセットで入れる。これだけで解決します。
原稿は、そのまま会社の資産になります
もう一つ、原稿を残しておくと得をすることがあります。
提案書の原稿は、そのままホームページの文章になります。
- 「こんなご相談が多いです」→ サービス紹介ページに
- 松竹梅の3案の考え方 → 料金ページに
- 施工の流れ → 「ご依頼の流れ」ページに
提案書は1社にしか届きません。でも同じ中身をホームページに置けば、まだ会っていない人にも届きます。
SNSの投稿は流れていきます。WordPressのページは残り続けます。ホームページは、24時間働く営業マンです。
実際、ネットからの反響が年間12件ほどだった建築・内装工事会社さんが、専門性のある工事に絞ったページを整えたことで、毎月何かしら案件が入る状態になりました。特別なことはしていません。お客さんに説明していた中身を、ページに置いただけです。
スライドは1回で使い捨て。原稿は何度でも使える資産。
この違いが、1年経つと大きく効いてきます。
▼「AIに何をどう渡せば、自分の言葉で書いてくれるのか」。その順番を、無料7大特典(AI超入門/話すだけ音声入力/専属ゴーストライター/コピペで使えるプロンプト15選/AI画像生成ガイド/Canva画像編集法/録音→AI議事録)でまとめてお渡ししています
まとめ|今日は、最後に作ったスライドを1枚だけ開いてみてください
AIスライドで一番時間を食うのは、作る時間じゃなくて、直す時間です。
- スライドは完成品ではなく、原稿を印刷したもの
- 手元に残すのは「前提メモ」と「本文原稿」の2つだけ
- 持っておくのはPowerPoint・Googleスライド・Canva、送るときだけPDF
- 指示の最後に「文字は編集できる状態で」と一言足す
- 画像のスライドも、AIに読ませれば原稿に戻せる
- 直すときは「それ以外は1文字も変えないで」
- 数字だけはAIに決めさせない
- 画像は表紙と挿絵だけ
- 差し替える5か所に印を付ければ、2回目から5分
今日やることは1つだけです。
最後に作ったAIスライドを開いて、文字を1か所クリックしてみてください。
直せたら、そのまま原稿を書き出しておく。
直せなかったら、手順2の指示文でAIに原稿へ戻してもらう。
これだけで、次の「金額を変えてもらえますか」に5分で返せる会社になります。
仕組み化してしまえば、あとは勝手に回ります。
やるかやらないか、それだけの話です。