あなたは2年間、同じ工事に、毎回ちがう金額を書いています。差は最大で4万円。そして、まだ一度も気づいていません。
気づかせるのは、ある日の打ち合わせで、お客さんが黙って机に並べる2枚の紙です。
1枚は、2年前にあなたが出した見積書。もう1枚は、今日あなたが持ってきた見積書。同じ部屋、同じ工事、同じ会社。違うのは、金額だけです。お客さんは一言だけ聞きます。「どちらが、本当の値段ですか」。
あなたは答えられません。そして沈黙に耐えきれず、自分からこう言います。「では、5万円お引きします」。
これは、たまたまの不運ではありません。見積もりの金額をそのつど”思い出して”書いている会社では、紙を並べられていないだけで、同じことが毎月起きています。安すぎた見積もり、押し切られた値引き、根拠を言えずに譲った数万円。毎月3万円、消えています。誰にも請求されず、帳簿にも載らない。あなただけが払い続けている、見えない税金です。
今日は、その税金がどこから発生しているのかという正体と、それを30分で止める話です。
見積もりの手が止まるのは、金額を思い出そうとしているからです
夜9時、誰もいない事務所。机の上には、今週中に出さなければいけない見積もりが3件。1件目は、去年やった店舗の原状回復に似た工事です。あなたはパソコンの「見積」フォルダを開き、去年の日付をさかのぼりながら、似ていそうなファイルを探しています。
毎月3万円、消えています。そう言われても、ピンとこないはずです。請求書にも通帳にも、そんな3万円はどこにも出てこない。うちの単価は現場ごとに違うから、比べても意味がない。私も最初はそう聞きます。
探しているあいだ、あなたは口の中でこうつぶやいています。
「前の現場、いくらで出したっけ」
そして、30分探しても出てこないとき、最後はこうなります。
「まあ、だいたいこれくらいかな」
この「だいたい」で出した金額が、あとから会社を削ります。見積もり1件にかかっている時間は、平均して1時間。そのうち、実際に計算している時間は15分もありません。残りは、探している時間と、思い出そうとしている時間です。
そしてもう1つ。金額の根拠が自分の中にないと、値引きを言われたときに踏ん張れません。「ちょっと高いなあ」と言われた瞬間、頭の中で「あのときはもう少し安く出したかもしれない」という声がします。その声が出た時点で、負けです。5万円下げます、と自分から言ってしまいます。
探す時間より、ブレのほうが高くつきます
時間だけの話なら、まだ我慢できます。問題は、思い出して決めた金額が、毎回ちがうことです。
同じ「クロス張り替え・6畳・下地補修あり」でも、疲れていた夜に出した見積もりと、余裕のある朝に出した見積もりでは、数万円ずれます。ずれた理由に根拠はありません。そのときの気分と、直前に見た他社の話です。
そしてお客さんは、高いほうだけを正確に覚えています。「前は◯◯円でしたよね」と言われたとき、あなたには説明ができません。なぜなら、そのときの金額の根拠が、あなたの頭の中にもう残っていないからです。
社長以外が見積もりを触れない会社は、社長の予定で止まります
もう1つ、あとから効いてくることがあります。単価が頭の中にあるうちは、見積もりは社長にしか作れません。
お客さんから「だいたいでいいので、今週中に金額だけ教えてください」と電話が来ます。事務のスタッフは答えられません。ベテランの職人も、材料の見当はついても、いくらで出しているかは知りません。結局「社長が戻り次第、折り返します」になります。
あなたが現場に出ている日、出張の日、風邪をひいた日。その日に来た問い合わせは、全部止まります。止まっているあいだに、先に金額を出した会社に決まります。
このまま1年続けると、120時間と72万円が消えます
数字にしてみます。
見積もり1件に1時間。月に10件出しているなら、年間で120時間です。8時間労働に直すと15日分。社長が丸2週間、事務所で過去のファイルを探しているのと同じことです。
お金のほうも数えます。思い出しで出した金額が、原価に対して安すぎた案件。1件あたり3万円の粗利が抜けるとして、月に1件でも毎月3万円。月に2件なら年72万円です。これは売上ではなく、利益から直接消えるお金です。粗利率20%の会社なら、360万円を新しく売り上げて、やっと取り返せる金額になります。
さらに大きいのは、失っている機会のほうです。「今週中に概算だけ」と言われた問い合わせに、その日のうちに数字を返せていれば、相見積もりの土俵に乗る前に決まっていた案件があります。金額を出すのが3日遅れるたびに、あなたは「比べられる立場」に自分から降りています。
もう1つ、静かに失っているものがあります。値引き耐性です。金額の根拠を紙で持っていない社長は、交渉の場で押し切られます。1件あたり5万円、月1件で年60万円。先ほどの72万円と合わせると、年間130万円。これは、社員を一人雇える金額に近いです。
エクセルで一から作ろうとすると、たいてい3日で止まります
ここで多くの社長がやる対処法が、1つあります。「よし、単価表を作ろう」とエクセルを開くことです。
そして、こうなります。1行目に「クロス張り替え」と書く。単位はm²か、1部屋か、で悩む。下地補修はどう扱うか、養生は別に立てるか、で手が止まる。項目を洗い出そうとすると、現場ごとの例外が次から次に出てきて、30行目あたりで「これは表にできない仕事だ」と結論を出してエクセルを閉じます。
これが3日で止まる理由です。ゼロから作ろうとすると、決めることが多すぎるのです。項目名も、単位も、含む・含まないの線引きも、全部を今から決めなければいけません。決めることが多い作業は、忙しい社長の机の上では後回しになります。
ネットで相場を調べる、という対処法も同じです。出てくるのは全国平均で、あなたの地域の材料費も、あなたの会社の職人の単価も、あなたが標準でつけている養生や廃材処分も入っていません。他社の平均を写した表は、使った瞬間に赤字か失注のどちらかを生みます。
これ、あなたの記憶力が悪いわけじゃないです
はっきりさせておきます。金額がブレるのは、あなたの記憶力の問題ではありません。AIを使っていないからでもありません。
うちの相場はもう決まっているのに、それが取り出せる場所に置かれていない。それだけです。
現に、あなたは去年も一昨年も、何十件と見積もりを出してきました。その1枚1枚に、あなたの会社の項目名、単位、金額、含むもの、含まないものが、全部書いてあります。相場は、すでに存在しています。頭の中ではなく、PDFの中に。
問題は、それが1件ずつバラバラのファイルに散らばっていて、横に並べて見たことが一度もないことです。
単価表は、作るものではありません。拾うものです
解決の正体は、一言で言えます。単価表はゼロから作らない。過去に自分が出した見積書3枚から、拾ってくる。これだけです。
なぜこれが効くのか。理由は単純で、あなたの見積書には、すでに「うちの会社の書き方」が入っているからです。項目の名前も、単位の立て方も、どこまでを一式に含めているかも、全部あなたが決めて、お客さんに出して、実際に受注してきたものです。つまり、答え合わせが終わっている情報です。
新しく決める必要があるのは、ゼロです。やるのは、3枚に散らばっているものを横に並べて、よく出てくる行を20行だけ抜き出す作業です。これはAIが得意な仕事です。人間が2時間かけて見比べる作業を、AIは数十秒で終わらせます。
なぜAIなのか、という点も、はっきりさせておきます。AIが賢いからではありません。3枚のPDFを横に並べて、同じ意味の項目を突き合わせて、金額の差を拾う。これは、人間がやると集中力を使うわりに、何も新しいものを生まない作業です。私は20歳からパソコンスクールで初心者に教えてきましたが、この手の「見比べる作業」でパソコンを嫌いになる人を、何百人も見てきました。AIに任せるべきなのは、頭を使う仕事ではなく、頭が疲れる仕事のほうです。
年12件が毎月に変わった会社も、新しく作ったものは少なかった
私が支援した建築内装の会社の話です。ネットからの反響が、年間で12件しかありませんでした。今は毎月何かしら案件が入る状態になっています。
このとき何をしたか。新しいサービスを考えたわけでも、値段を下げたわけでもありません。すでにその会社がやっていた専門工事を、外から見える形に置き直しただけです。LGS内装、軽天、GL工事。社内では当たり前だった言葉を、探している人が読める場所に出した。それだけで、年12件が毎月に変わりました。
私の会社も同じ考え方でここまで来ました。営業マンは一人もいません。それで年商4.8億、経常利益は10%以上、年間1000件規模の案件がWebから入ってきます。飛び込み営業で「いらない」と言っている人に頭を下げていた学生時代に、二度と自分から売り込まないと決めたからです。
在宅のパート主婦さんが、月100円レベルのコストでサイトを作って集客した例もあります。センスでも根性でもありません。仕組み化してしまえば、あとは勝手に回ります。
単価表も、まったく同じ構造です。あなたの会社の相場は、もう存在しています。存在しているものを、取り出せる場所に置くだけです。
やることは、3つだけです
流れを先に見せておきます。全部で30分です。
- 【手順1】見積書3枚を、写真で撮ってAIに渡す(10分) … 過去に実際に出した見積書を3枚選んで、スマホで撮るか、PDFをそのまま渡します
- 【手順2】よく出る項目を、20行の表に整える(15分) … AIに横並びで比べさせて、毎回出てくる項目だけを残します。ここで金額の食い違いも同時に出させます
- 【手順3】次の見積もりを、その表から下書きさせる(5分) … できた20行を使って、今週出す1件を下書きさせます。使いながら表が育ちます
エクセルで一から作ると3日かかって、たいてい途中で止まります。3枚から拾うやり方なら、30分で20行が埋まります。差がつくのは能力ではなく、決めることを増やさない順番です。
もう1つ。この手順で作った表は、社長以外でも読めます。項目と単位と金額と、含む・含まないが書いてあるだけの紙だからです。事務のスタッフが電話口で「だいたいこれくらいです」と答えられるようになるのは、この1枚があるからです。
30分後、見積もりは「探す仕事」から「選ぶ仕事」に変わります
この1枚が机の上にあると、何が変わるか。時間・回数・お金の3つで並べます。
| Before(今) | After(単価表20行) | |
|---|---|---|
| 見積もり1件の時間 | 1時間(うち探す時間40分) | 20分(拾って選ぶだけ) |
| 同じ工事の金額 | 月によって数万円ブレる | 同じ条件なら同じ金額 |
| 社長不在時の概算回答 | 折り返します(3日後) | その場で答えられる |
| 年間の見積もり時間 | 120時間 | 40時間 |
社内の変化も、思ったより早く出ます。事務のスタッフが概算を答えられるようになると、社長に回ってくる電話が減ります。ベテランの職人が「これは別途ですよね」と現場で先に言えるようになると、あとから請求できない追加作業が減ります。1枚の紙が、あなたの代わりに現場と電話口に立ってくれる、ということです。
数字よりも、変わり方がはっきり出るのは、お客さんのセリフのほうです。
今:「前にお願いしたときより高くないですか」
あと:「なるほど、これは含まれていて、これは別なんですね」
金額の話が、疑いの話から、内容の話に変わります。これは値引き交渉の入口が1つ消える、ということです。
相見積もりで負ける会社の多くは、金額が高いから負けているのではありません。金額の根拠を、その場で説明できないから負けています。単価表を持っている社長は、お客さんの前で「うちはこの項目をこの単位で出しています」と言えます。言えた瞬間、あなたは見積もりを出すだけの業者ではなく、選び方を教える先生の側に立っています。
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この先で手に入るもの
ここまでで、なぜ手が止まるのか(頭の中にしか単価がない)、何をすれば止まらなくなるのか(3枚から拾う)、どういう順番でやるのか(撮る→整える→下書き)は、全部お伝えしました。
ここから先は、それを今夜そのまま実行するための道具だけを置きます。読む文章ではなく、貼る・埋める・照らし合わせる道具です。
- そのまま貼る指示文3本(①見積書3枚から項目と単価を抜き出す ②食い違っている行だけ指摘させる ③単価表から次の見積もりを下書きさせる。◯の差し替え箇所つき)
- 単価表20行の穴埋めシート1枚(項目名/単位/標準単価/含むもの/含まないもの の5列。架空の内装工事会社の記入例つき)
- AIの出力見本1表(実際にどんな形で返ってくるか。架空データ)
- 触る行・触らない行の仕分け表1つ(全部を見直そうとして止まる人向け)
- 裏技1つ:普通は20行すべてを検算するので2時間かかります。直す必要がある行だけを先に絞り込む聞き方に変えると、手を入れるのは平均3〜4行だけになり、15分で終わります
- 出す前チェック4か所とやってはいけない4つ(個人情報・原価の扱いを含む)
外注で「自社の標準単価表を作ってください」と頼めば、ヒアリングだけで数万円はかかります。この30分で作った1枚で、安すぎる見積もりを1件防げれば、それだけで元は取れる計算です。
向いている人:過去に出した見積書が3枚以上パソコンか紙で残っている方。自分で金額を決めている方。事務スタッフや職人にも概算を答えられるようにしたい方。
向いていない人:毎回まったく違う一点ものの仕事しかしていない方。すでに社内で単価表が運用されていて、全員が同じ金額を出せている方。金額の判断までAIに任せたい方(この記事では、最後に決めるのは人間だという前提を崩しません)。
【手順1】見積書3枚を、写真で撮ってAIに渡してください(10分)
この先は読み物ではなく道具です。上から順に、貼る・撮る・埋めるだけで終わります。
選ぶ3枚の条件(これだけ守れば、どれでも構いません)
- 実際にお客さんに出して、受注できたもの(失注分は単価がブレているので外す)
- 直近1年以内のもの(材料費が古いと使えない)
- 工事の種類が近いもの3枚(バラバラの業種を混ぜない)
渡す前に消すもの:お客さんの会社名・個人名・住所・電話番号・現場名。写真なら指で隠して撮るか、黒く塗ります。仕入先の名前と仕入原価も外します。
準備ができたら、そのまま貼ってください。
あなたは、建設・内装工事会社の見積もりを整理する担当者です。
これから、私の会社が実際にお客さんへ出した見積書を3枚渡します。
次の作業だけをしてください。余計な提案やアドバイスは書かないでください。
1. 3枚に出てくる項目名を、すべて書き出す
2. 同じ意味の項目は1つにまとめる(例:「クロス張替」と「壁紙張り替え」は同じ行にする)
3. 3枚のうち2枚以上に出てきた項目だけを残し、出現回数の多い順に並べる
4. 各項目について、次の5つを表にする
– 項目名/単位(m²・箇所・式・人工 など、私の見積書に書いてある単位をそのまま使う)/3枚での金額(3つ並べる)/含まれている作業/別途になっている作業
5. 私が渡していない情報(相場・一般的な単価・他社の金額)は一切書かない。書けない欄は「【要確認】」とだけ入れる
業種:◯◯(例:内装仕上げ工事)
よく受ける工事:◯◯(例:店舗の原状回復、住宅のクロス張り替え)
ここでのポイントは、4番の「3枚での金額を3つ並べさせる」ところです。平均を出させてはいけません。並べるから、食い違いが見えます。
確認①:出てきた項目が20行前後になっていればOKです。40行以上出てきたら「2枚以上に出てきたものだけ」をもう一度指示してください。5行以下なら、選んだ3枚の工事種類が離れすぎています。
【裏技】全部を検算するな。食い違っている行だけ、AIに言わせてください
普通は、出てきた20行を上から順に「この金額で合っているか」と検算していきます。1行5〜6分かかるので、2時間コースです。そして途中で飽きます。
順番を変えます。先にAIへ「3枚のあいだでズレている行」だけを出させて、そこだけ人間が決める。ズレていない行は、3枚とも同じ金額で出している=すでに自分の中で標準が決まっている行なので、触る必要がありません。
実際にやると、直す行は平均で3〜4行です。2時間が15分になります。
さきほど作った表を使って、次の2つだけを出してください。
1. 3枚のあいだで金額が10%以上ちがう項目を抜き出し、「項目名/3枚の金額/差額/考えられる理由(数量が違う・下地の状態が違う・時期が違う など)」を表にする
2. 3枚とも金額が同じか、差が10%未満の項目を「標準が決まっている行」として別のリストにする
理由の欄は、私の見積書に書いてある情報から読み取れる範囲だけで書いてください。
読み取れない場合は「判断材料なし・要確認」と書いてください。
推測で相場や原価を補わないでください。
出てきた「ズレている行」だけを、あなたが決めます。決め方は難しくありません。3つの金額のうち「これが今のうちの標準だ」と言えるものを1つ選ぶ。それだけです。
確認②:ズレている行が10行を超えた場合、選んだ3枚の現場条件が違いすぎます(新築と改修が混ざっている等)。3枚のうち1枚を差し替えてやり直してください。
触る行・触らない行の仕分け
| 行の状態 | どうするか | かける時間 |
|---|---|---|
| 3枚とも同じ金額 | 触らない。そのまま標準単価に採用 | 0分 |
| 差が10%未満 | 触らない。真ん中の金額を採用 | 0分 |
| 差が10%以上 | ここだけ社長が決める。3つから1つ選ぶ | 1行2分 |
| 1枚にしか出ていない | 表から外す。例外工事として別扱い | 0分 |
| 金額が空欄・一式のみ | 【要確認】のまま残す。次に出すときに埋める | 0分 |
【手順2】20行の単価表を、この形に埋めてください(15分)
AIが出した表を、この5列の形に整えます。列はこれ以上増やさないでください。増やすと使わなくなります。
穴埋めシート(自社の標準単価表20行)
| 項目名 | 単位 | 標準単価 | 含むもの | 含まないもの |
|---|---|---|---|---|
| (例)クロス張り替え・量産品 | m² | 1,200円 | 既存はがし・下地パテ1回・清掃 | 下地ボード交換・家具移動 |
| (例)クロス張り替え・1000番台 | m² | 1,650円 | 既存はがし・下地パテ1回・清掃 | 下地ボード交換・家具移動 |
| (例)下地ボード張り替え | m² | 2,800円 | 撤去・新規張り・ビス処理 | 廃材処分費 |
| (例)床クッションフロア張り替え | m² | 3,200円 | 既存撤去・下地調整・見切り | 段差解消・下地合板 |
| (例)養生費 | 式 | 15,000円 | 通路・共用部・家具 | 長期養生(3日超) |
| (例)廃材処分費 | 式 | 20,000円 | 一般廃材の積み込み・運搬 | 産廃・アスベスト含有材 |
| (例)現場管理費 | 式 | 工事費の10% | 工程管理・近隣挨拶 | 常駐管理 |
| (例)諸経費 | 式 | 工事費の5% | 交通費・駐車場・雑材 | 遠方出張(片道50km超) |
| (あなたの会社の行) |
※上の数字はすべて架空の内装工事会社の記入例です。そのまま使わないでください。あなたの3枚から出てきた数字で置き換えます。
この5列にする理由
- 「含まないもの」の列が、追加工事の請求根拠になります。ここが空欄だと、現場で「それも入ってると思ってました」が起きます
- 「単位」を自分の見積書の書き方のまま残すのは、お客さんが前に見た形と揃えるためです。単位が変わると「前と違う」と言われます
確認③:20行のうち、「含まないもの」の欄が埋まっているのが15行以上あればOKです。ここが空だらけの表は、ただの価格表であって、値引き交渉を止める道具にはなりません。
【手順3】今週出す1件を、この表から下書きさせてください(5分)
表は、使わないと育ちません。完成を待たずに、今週出す見積もりを1件、これで下書きします。
あなたは、私の会社の見積もり作成の補助です。
【単価表】として、私が作った標準単価表を貼ります。
【今回の条件】として、今回の現場の条件を渡します。
次のとおり作ってください。
1. 【単価表】にある行だけを使って、見積もりの明細を作る
2. 単価表にない作業が必要な場合は、金額を書かずに「【要見積】◯◯」という行を立てる
3. 各行に「含むもの」「含まないもの」を1行で添える
4. 最後に「今回、単価表になかった項目」を一覧で出す
5. 金額の推測・値引きの提案・相場との比較は一切しない
【単価表】
(ここに手順2の表を貼る)
【今回の条件】
現場:◯◯(例:築15年マンション・3LDK・空室)
内容:◯◯(例:全室クロス張り替え、洋室1部屋のみ床CF張り替え)
数量:◯◯(例:クロス約210m²、床約12m²)
条件:◯◯(例:エレベーターなし4階、平日のみ作業可)
出力の見本(架空データ・イメージ確認用)
| 項目 | 単位 | 数量 | 単価 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| クロス張り替え・量産品 | m² | 210 | 1,200円 | 252,000円 | 含む:既存はがし・パテ1回/含まない:ボード交換 |
| 床CF張り替え | m² | 12 | 3,200円 | 38,400円 | 含む:既存撤去・見切り/含まない:下地合板 |
| 養生費 | 式 | 1 | 15,000円 | 15,000円 | 含まない:3日超の長期養生 |
| 廃材処分費 | 式 | 1 | 20,000円 | 20,000円 | 含まない:産廃 |
| 【要見積】4階・エレベーターなしの搬入費 | — | — | — | — | 単価表になし・社長判断 |
最後の「【要見積】」の行が、この仕組みのいちばん大事なところです。AIは、知らない金額を作らない。知らないものは空欄で上げてくる。だからあなたは、その1行だけを考えればよくなります。
確認④:下書きが出てきたら、合計金額を自分で電卓に入れ直してください。数字の計算だけは、AIの出力をそのまま信じない。たたき台はAI、最終判断は人間です。ここは崩さないでください。
やってはいけない4つ
1. 原価・仕入先名・仕切り価格をAIに入れない。単価表に入れるのは「お客さんに出している金額」だけです。原価は別ファイルで、手元だけに置いてください
2. お客さんの名前・住所・現場名を消さずに渡さない。過去の見積書には、たいてい相手の情報が入っています。渡す前に消す。これは本人の了解なく他人の情報を外に出さないという、当たり前の線引きです
3. AIに「相場を調べて単価を埋めて」と頼まない。出てくるのは全国平均で、あなたの原価も地域も入っていません。空欄は空欄のまま、あなたが埋めてください
4. この表を、そのままお客さんに渡さない。これは社内の道具です。お客さんに出すのは、そこから作った見積書です。標準単価をそのまま公開すると、値引き交渉の出発点にされます
一人で止まりそうなら、次はここから
ここまでの30分で、あなたの会社の相場は頭の中から紙の上に出ました。ここから先、詰まるとしたら2か所です。
1つは、20行に入りきらない「例外工事」の扱い。もう1つは、この表を事務スタッフや職人に渡して、実際に運用に乗せるところです。どちらも、正解が決まっている作業ではなく、会社ごとに決め方が変わるところです。
まずは無料の7大特典で、AIに何をどう渡すかの型を手元に置いてください。そのうえで「自社の場合はどう組むか」を一緒に決めていきたい方には、AIスモビジ実践会があります。動画を見て終わりではなく、あなたの会社の書類を実際に触りながら進める場です。本気で仕組みに変えたい方だけ来てください。全員に向けた場ではありません。
この3つの道具を今夜全部使ったら、明日の朝には机の上に「うちの標準単価表」が1枚あります。明日かかってくる「だいたいでいいので金額を」の電話に、あなたは探さずに答えられます。そして今週出す3件の見積もりは、去年のフォルダを開かずに終わります。それが、この30分で起きることです。
まとめ:今日やることは、見積書を3枚選ぶことだけです
- 金額がブレるのは記憶力の問題ではなく、うちの相場が取り出せる場所にないから
- 探す時間で年120時間、安すぎる見積もりで年72万円が消える
- 単価表はゼロから作ると3日で止まる。過去の見積書3枚から拾えば30分
- ズレている行だけ直す。触らない行のほうが多い
- 「含まないもの」の列が、追加工事の請求根拠になる
今日やることを1つだけ決めてください。パソコンの見積フォルダから、受注できた見積書を3枚選んで、デスクトップに置く。それだけです。20行にするのは、そのあとで間に合います。
夜9時に去年のファイルを探す時間は、仕事ではありません。探しものです。あなたの会社の値段は、もう決まっています。決まっているものを、毎月もう一度考え直しているから、時間もお金も減っていきます。
毎月3万円、消えています。 止めるのに必要なのは、去年のあなたが残した3枚の見積書と、30分だけです。やるかやらないか、それだけの話です。
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