月曜の朝礼で、先月のクレームの話をして、今月の方針を熱く語った。30分かけて、身振りも入れて、最後に「分かった?」と聞いたら、全員がうなずいた。
その週の木曜、現場からの電話で耳を疑います。「お客さんに、これくらいサービスしときますって言っちゃいました」。無料サービスはやめる、と月曜に言ったばかりです。
伝わらなかった理由は、あなたの熱意でも、社員のやる気でもありません。30分話した方針が、社員の手元に1枚も残っていなかったからです。今日の話は、3分しゃべった内容をAIで5枚のスライドに整えて、朝礼で配るだけの話です。
今日は、社員のやる気を上げる話ではありません。話すより、配れ。社長の頭の中にある判断の基準を、社員が迷ったときに見返せる”残る形”にする話です。作るのにかかる時間は、手順を全部合わせて25分です。
「前にも言ったよね」は、社員の耳に届いていません
月曜の朝7時50分。資材置き場の前に、職人3人と事務のパートさん、入って3か月の新人が並んでいます。あなたは先月あったクレームの経緯を話し、「今月からは、頼まれていない追加作業を無料でやらない」と決めたことを伝えます。気がつけば30分。職人は腕を組み、パートさんは時計をちらりと見ています。
話すより、配れ。そう言われても、紙を配るなんて冷たい、顔を見て話すから伝わるんだ、と思うはずです。私も昔はそう思っていました。
その週の木曜、職人から電話が来ます。「お客さんに、棚の取り付けもついでにやっときますって言っちゃいました。まずかったですか」。
あなたは、きまってこう言います。
「前にも言ったよね?」
そして電話を切ったあと、事務所で一人、こうつぶやきます。
「うちの社員は、何回言っても分からない」
口で言ったことは、聞いた人の数だけ別の話になります
月曜の朝礼で、5人は同じ話を聞きました。ですが、5人の頭に残ったものは5通りです。
職人Aさんが覚えていたのは「先月のクレームは大変だった」。職人Bさんは「社長が機嫌が悪かった」。新人は「無料って何のことだろう」と思ったまま、聞き返せずに終わっています。パートさんは、そもそも自分に関係のある話だと思っていません。
誰も、ふざけていたわけではありません。口で言ったことは、聞いた人がそれぞれの言葉に置き換えて覚えるからです。そして、置き換えた言葉は1週間でほぼ消えます。30分話して、翌週に全員がそろって言える方針は、多くて1行です。
熱く語るほど、要点は埋もれます
もう1つ、見落とされがちなことがあります。熱が入った話ほど、長くなります。長くなるほど、「経緯」と「思い」と「方針」が混ざります。
社長の頭の中では、方針は1行で整理されています。「頼まれていない作業は、その場で約束しない」。ですが、口から出てくるときには、先月のクレームの話、お客さんの顔、10年前の失敗談が一緒に出てきます。聞いている側には、どれが今月守るべき1行なのかが分かりません。
社長にとっての30分は「伝えた時間」ですが、社員にとっては「どこが大事か分からない話を聞いた時間」です。
紙を配るのは、冷たいことではありません
ここで、最初に出てきた引っかかりに戻ります。紙を配るなんて冷たい、顔を見て話すから伝わる、という感覚です。
顔を見て話すことは、やめなくていいです。ただ、顔を見て話したことは、その場にいた人の記憶にしか残りません。休みだった職人、午後から出勤のパートさん、来月入る新人には、何も届きません。そして、その場にいた人の記憶も、1週間で薄れます。
本当に冷たいのは、伝えたつもりで何も渡さずに、あとから「前にも言ったよね」と責めることのほうです。社員にとっていちばんありがたいのは、熱い30分の話ではなく、迷ったときに社長に電話しなくても答えが書いてある1枚です。紙は、社長の代わりに現場に立ってくれる道具です。
このまま1年続けると、48万円と156時間が消えます
数字にしてみます。
現場で「ついでにやっときます」が1件出るたびに、職人の手間と材料で2万円ほどが消えます。これが月に2件。年間で48万円です。売上ではなく、利益から直接出ていくお金です。粗利率20%の会社なら、240万円を新しく売り上げて、やっと取り返せます。
時間のほうも数えます。朝礼30分を週1回、年52週。社長1人なら26時間ですが、聞いている社員5人の時間も合わせれば、会社全体で156時間です。丸20日分の人件費を払って、1行しか残らない話を聞かせていることになります。
さらに大きいのは、失っている機会のほうです。方針が紙になっていない会社では、社員は迷うたびに社長に電話をかけます。「これ、どうしますか」「お客さんがこう言ってるんですけど」。1日5本、1本3分でも、年間で60時間。その電話に答えている限り、社長は現場から抜けられません。営業の仕組みを作る時間も、新しい商品を考える時間も、ここで消えています。
「言われていないことで怒られる」職場から、人は辞めていきます
もう1つ、数字にしにくい損失があります。人です。
入って3か月の新人の立場で考えてみてください。朝礼で30分の話を聞いた。何が大事だったのかは分からない。木曜に現場で先輩のまねをしたら、夕方に社長から「前にも言ったよね」と言われた。本人の感覚では、言われていないことで怒られたのと同じです。
これが2回、3回と続くと、新人は自分で判断するのをやめます。何をするにも社長に電話で聞くようになるか、黙って辞めていくかのどちらかです。求人広告に数十万円かけて採った1人が、半年で辞める。そのたびに、また30分の朝礼で同じ話を最初からすることになります。
方針が紙になっていない会社では、社長の説明が上手い下手に関係なく、この繰り返しが起きます。
「もっと強く、何度も言う」は、傷を広げます
この状況で、多くの社長がやる対処が3つあります。どれも状況を悪くします。
1つ目は、もっと強く、何度も言うことです。朝礼で同じ話を毎週繰り返す。これをやると、社員は「また同じ話だ」と聞き流す練習を積みます。大事な話ほど、繰り返すほど耳に入らなくなります。
2つ目は、LINEグループに長文を流すことです。夜の11時に、思いを込めた800字のメッセージを送る。翌朝には、既読の数字だけが増えて、誰も最後まで読んでいません。長文は、スマホで読まれない書き方の代表です。
3つ目は、「徹底!」の張り紙です。「無料サービス禁止」「報連相の徹底」。張った初日は目に入りますが、3日で景色になります。理由も、迷ったときの判断基準も書いていないので、現場で「じゃあ、この場合は?」となった瞬間に役に立ちません。
どれも、話の量や強さを増やして、残る形を作っていないという点で同じです。
これ、社員が悪いわけじゃないです
ここは分けて考えてください。
社員は、社長の方針を無視したいわけではありません。むしろ逆で、多くの社員は「社長に怒られないように動きたい」と思っています。現場で「ついでに」と言ってしまうのも、お客さんを喜ばせたい、会社の評判を上げたいという気持ちからです。
足りていないのは社員のやる気ではなく、現場で迷ったときに見返せる判断の基準です。そして、その基準は社長の頭の中にしかありません。口で言っただけでは、社員の手元には何も渡っていない。それだけの話です。
営業マンを増やす前に、判断の紙を配ってください
私は、未経験からリフォーム業に参入して、営業マンを1人も雇わないまま年商4.8億円、経常利益10%以上、年間1000件規模の問い合わせをWebから取れるところまで来ました。
この規模になると、社長が全部の判断をしていたら、会社は1日で止まります。現場ごとに、見積もりごとに、お客さんとの電話ごとに、誰かが判断しています。その判断がそろっていたのは、社員が優秀だったからだけではありません。判断の基準を、紙で渡していたからです。
もう1つ、はっきり覚えている事例があります。Web知識ゼロの在宅パートの主婦が、月100円のコストでホームページを作り、そこから問い合わせが入ったことがあります。私が横について教えたわけではありません。やったのは、手順を書いたマニュアルを渡したことだけです。口で説明していたら、あの人は3ページ目で止まっていたはずです。
私は20歳の頃から、パソコンスクールで初心者に教えてきました。そこで分かったのは、口で説明したことは5分で忘れられるが、手元に紙があれば初心者でも一人で進める、ということです。人は、聞いたことではなく、見返せることで動きます。
やることは、一言でまとめられます
話した方針を、社員が”迷ったときに見返せる5枚”にして配る。
これだけです。熱意を伝える資料ではありません。社員が現場で「これ、どうしよう」と思った瞬間に開いて、社長に電話しなくても判断できる5枚です。
なぜ5枚なのか。1枚だと、理由と判断基準が入りきりません。10枚だと、誰も最後までめくりません。朝礼5分で説明し終わり、休憩所の壁に貼って1か月もつ量が、5枚です。
なぜ効くのかも、はっきりしています。口で言ったことは、聞いた人の言葉に置き換わって消えます。紙に書いたことは、社長の言葉のまま残ります。迷ったときに見返せます。休んでいた人にも、来月入る新人にも、まったく同じものが渡ります。
作る流れは、4つだけです
資料作りと聞くと、パソコンの前で2時間うなる姿を想像するかもしれません。手作業でパワーポイントを開いて、方針資料を5枚作ると、慣れていても2時間はかかります。AIと道具を使えば、25分です。
流れは、この4つです。
1. 【手順1】3分しゃべって、材料の6行にする(5分):キーボードは使いません。スマホの音声入力で、今月伝えたいことを話すだけです
2. 【手順2】AIに5枚に整えさせる(10分):話した中身を、決まった5枚の枠に振り分けさせます
3. 【手順3】社員の”読み違い”を先につぶす(7分):ここが裏技です。配る前に、AIに社員役をやらせて、わざと読み違えさせます
4. 【手順4】朝礼5分で配り、1か月貼っておく(3分):読み上げません。渡して、1つだけ質問して終わります
いちばん時間が縮むのは3つ目です。普通は、伝わるように言葉を足していきます。足すほど長くなり、長くなるほど読まれなくなります。ここを逆にして、先に「どこで読み違えるか」を出させると、直すところが3〜4か所に絞られて一気に終わります。
朝礼は、”伝える場”ではなく”確かめる場”にしてください
5枚を配るようになると、朝礼の役割が変わります。
これまでの朝礼は、社長が話して、社員が聞く場でした。30分のうち、社員が口を開くのは最後の「はい」だけです。これでは、伝わったかどうかを確かめる方法がありません。
紙を先に配ると、説明はほとんど要らなくなります。空いた時間でやるのは、確かめることです。社員の1人に、明日の現場で自分ならどうするかを一言で答えてもらう。答えが紙と同じなら、伝わっています。違っていたら、その場で紙のどこを見ればいいかを指させば済みます。
話す時間を減らして、確かめる時間を作る。朝礼が30分から5分になっても、伝わる量はむしろ増えます。
AIが得意なのは”整えること”。決めるのは社長です
先に、はっきりさせておきます。今月の方針を決めるのは、AIではありません。社長です。
AIがやるのは、社長が3分でしゃべった、まとまりのない言葉を5枚の枠に整理することだけです。売上目標、値引きの上限、残業の扱い。こうした数字や条件は、AIに決めさせてはいけません。AIは、それらしい数字を平気で作ります。数字は、社長の口から出たものだけを使います。たたき台はAI、最終判断は人間です。
「サービスしときます」を止めるのは、現場の1枚です
私はずっと、業者になるな、先生になれと言い続けています。業者は、言われたとおりに何でもやって、値段で比べられます。先生は、「ここまではやる、ここから先は別料金」を最初に説明できます。
ところが、社長がどれだけ先生の立ち位置で商談しても、現場の職人が「ついでにやっときますよ」と言った瞬間に、会社は業者に戻ります。相見積もりで値引きしなかった分が、現場のサービスで消えていきます。
値引きしない方針は、社長の頭の中にあるだけでは守られません。現場の一人ひとりまで届いて、はじめて守られます。今日の5枚は、そのための道具です。
配った月から、「前にも言ったよね」が消えます
実際に何が変わるのか、先に見ておきます。
| 項目 | 口で言っていたとき | 5枚を配ったあと |
|---|---|---|
| 朝礼の長さ | 30分 | 5分 |
| 同じ注意をする回数 | 月4回 | 月0〜1回 |
| 現場の「ついでにやっときます」 | 月2件(年48万円) | 0件 |
| 社長への「これどうしますか」電話 | 1日5本 | 1日1〜2本 |
| 新人への方針の説明 | 毎回口頭で1時間 | 5枚を渡して15分 |
| 方針資料を作る時間 | 2時間(手作業) | 25分 |
いちばん大きく変わるのは、社員が口にする言葉です。
これまでは、社長が「前にも言ったよね」と言い、社員が「聞いてないです」と返していました。どちらも嘘はついていません。口で言ったことは、残っていないからです。
5枚を配ったあとは、社員同士でこういう会話が出てきます。
「それ、今月の4枚目に書いてあったやつじゃない?」
社長が言わなくても、紙が言ってくれる状態です。社長の口から出る言葉も、「前にも言ったよね」から「何枚目を見た?」に変わります。叱る言葉ではなく、確認する言葉です。
社長の電話が減ると、社長にしかできない仕事が戻ってきます
1日5本の電話が1〜2本になると、年間で40時間ほどが戻ってきます。その時間で、次の商談の準備をする。見積もりを松竹梅の3案で出す。ホームページの事例を1本足す。社長にしかできない仕事は、たいてい社長の電話が鳴りやんだあとにしかできません。
値引きをしなくなれば粗利が残り、粗利が残れば職人の手間賃に回せます。現場のサービスが止まれば、相見積もりで値引きを断った意味も、そのまま利益として残ります。
社員が自分で判断した日が、会社が変わった日です
5枚を配って1か月ほど経つと、ある日こういう報告が来ます。
「お客さんに追加を頼まれたので、5枚目のとおり、確認して今日中に連絡しますと言っておきました。写真送ります」
社長に電話で「どうしますか」と聞くのではなく、自分で判断して、終わったことを報告してくる。この1本の報告が来た日が、会社が変わった日です。社長の判断が、社長の頭の中から出て、現場で回り始めたということだからです。
営業マンを増やす前に仕組みを作れ、と私はずっと言っています。社員を増やす前も同じです。人を1人増やすより、今いる5人が同じ基準で判断できるほうが、会社はずっと速く、ずっと安く回ります。
5枚は、来月の新人にもそのまま渡せます
もう1つ、見落とされがちな効果があります。
毎月の5枚をファイルに綴じていくと、1年で60枚の「うちの会社の判断基準集」ができます。来月入る新人には、口で1時間説明する代わりに、この綴りを渡せば済みます。面接で「うちはこういう考え方の会社です」と見せることもできます。
SNSの投稿は流れて消えますが、この綴りは積み上がります。会社の中にたまっていく、ストックの資産です。
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この先で手に入るもの
ここから先は、その5枚を実際に作るための道具です。読み終わったときに、来週の朝礼で配れる5枚が手元にできている状態を目指しています。所要時間は、手順1が5分、手順2が10分、手順3が7分、手順4が3分の合計25分です。手作業でやれば2時間かかる作業です。
- 3分しゃべる材料の穴埋めシート 1枚(6行・架空の内装工事会社の記入例つき)=何を話せばいいか迷う時間が0分に
- そのままコピペして使える指示文 2本(しゃべった中身を5枚に整える指示文/社員3人になりきって読み違えさせる裏技の指示文)=手作業2時間→17分
- 5枚の構成見本 1表(各スライドのタイトル・中身・記入例)
- 読み違いの型と直し方 1表(「なるべく」「しっかり」など、現場で読み違えられやすい言葉の直し方)
- 朝礼5分の配り方台本 1本と、朝礼でやること/やらないことの表
- 配る前の確認 4項目と、やってはいけない4つの配り方(数字と個人情報の扱いを含む)
社外の講師に方針浸透の研修を頼めば、1回数万円はかかるのが普通です。現場の「ついでにやっときます」を1件止められれば、元は取れる程度の話です。
向いている人:社員やパートさんが2〜20人ほどいる方。「前にも言ったよね」が口ぐせになっている方。現場からの「これどうしますか」の電話で、自分の仕事が止まっている方。値引きしない方針を、現場まで届けたい方。
向いていない人:方針は口で熱く語れば伝わるはずだと考えている方。社員一人ひとりの判断を増やしたくない、全部自分で決めたい方。手順を読んでも、来週の朝礼で実際に配ってみない方。この記事は、来週の朝礼1回で試す人のために書いています。
【手順1】3分しゃべって、6行を埋めてください(5分)
この先は道具です。上から順に、埋める・貼る・照らし合わせる。解説はほとんど書いていません。
- 所要時間:5分(しゃべる3分+行に振り分ける2分)
- 入力:スマホの音声入力で話した、今月伝えたいこと
- 出力:材料の6行
- 手作業なら:何を書くか考えるだけで30分
スマホのメモ帳を開き、マイクのボタンを押して、今月社員に伝えたいことを3分しゃべってください。まとまっていなくて構いません。そのあと、下の6行に振り分けます。空欄の行があってもかまいません。空欄は、手順2でAIが「足りていない」と教えてくれます。
穴埋めシート「今月の材料6行」
| 行 | 埋めること | 記入例(架空:福岡市の内装工事会社・社員6人) |
|---|---|---|
| 1行目 | 今月いちばん伝えたいこと(1つだけ) | 頼まれていない追加作業は、その場で約束しない |
| 2行目 | そう決めた理由(先月あった出来事) | 先月、無料で棚を付けたら、別の不具合まで無料で直すよう求められ、2日分の手間が消えた |
| 3行目 | 今月から”やること”(動作で書く) | 追加を頼まれたら「確認して、今日中に社長から連絡します」と言って、写真を撮ってLINEで送る |
| 4行目 | 今月から”やめること・言わないこと” | 「ついでに」「サービスで」「これくらいなら」の3つの言葉を使わない |
| 5行目 | 迷ったときの判断基準 | 5分で終わる作業でも、材料を使うなら社長に確認。材料を使わない掃除・片付けはやってよい |
| 6行目 | 今月の数字(社長が決めた数字だけ) | 追加作業の無料対応 0件。追加の見積もり提出は当日中 |
埋め方の一言
- 1行目は、2つ書きたくなっても1つにしてください。2つ書いた月は、2つとも残りません
- 3行目と4行目は「意識する」「気をつける」を使わず、口に出す言葉か、手の動きで書きます
- 6行目に、あなたが決めていない数字を書かないでください。空欄でかまいません
【手順2】しゃべった中身を、5枚に整えてください(10分)
- 所要時間:10分(貼る1分+待つ1分+直す8分)
- 入力:材料の6行
- 出力:5枚分のスライド原稿
- 手作業なら:パワーポイントで1時間半
5枚の構成見本
| 枚目 | スライドのタイトル | 中身 | 記入例(架空の内装工事会社) |
|---|---|---|---|
| 1枚目 | 今月の一言 | 1行目を20字以内で | 追加の作業は、その場で約束しない |
| 2枚目 | なぜ、そう決めたか | 2行目を3行以内。誰かを責める書き方にしない | 先月、無料で棚を付けたあと、別の不具合も無料で、と言われて2日分の手間が消えました |
| 3枚目 | 今月やること | 3行目を「言うこと」「やること」3つまで | ①「確認して今日中に連絡します」と言う ②写真を撮る ③LINEで社長へ送る |
| 4枚目 | 今月やめること | 4行目。言わない言葉をそのまま書く | 「ついでに」「サービスで」「これくらいなら」は言わない |
| 5枚目 | 迷ったら、こうする | 5行目+「社長に聞くのはこの3つだけ」 | 材料を使うなら確認。掃除・片付けはOK。社長に電話するのは、お金・安全・お客さんの怒り、の3つだけ |
1本目の指示文です。そのままコピーして、◯の部分だけ差し替えてください。
あなたは、社員6人前後の会社で、社長の方針を社員向けの資料に整える担当者です。以下は、社長がスマホで話した今月の方針を6行にまとめたものです。これをもとに、朝礼で配るスライド5枚分の原稿を作ってください。
1行目(今月いちばん伝えたいこと):◯◯
2行目(そう決めた理由):◯◯
3行目(今月からやること):◯◯
4行目(今月からやめること・言わないこと):◯◯
5行目(迷ったときの判断基準):◯◯
6行目(今月の数字):◯◯
条件:
①5枚の順番とタイトルは「1.今月の一言/2.なぜ、そう決めたか/3.今月やること/4.今月やめること/5.迷ったら、こうする」で固定する
②1枚あたり本文は60字以内、箇条書きは3つまで。現場の職人と入社3か月の新人が、立ったまま10秒で読める言葉にする
③「意識する」「徹底する」「しっかり」「なるべく」は使わない。口に出す言葉か、手の動きで書く
④2枚目は、特定の社員やお客さんを責める書き方にしない。名前は出さない
⑤5枚目の最後に「社長に電話するのは、次の3つのときだけ」を入れる。3つは5行目から作り、足りなければ【要確認】と書く
⑥金額・件数・日数・目標などの数字は、6行目に私が書いたもの以外を作らない。必要な箇所は【要確認】と書いて空欄にする
⑦最後に、6行の中で情報が足りず、あなたが推測で埋めた箇所を箇条書きで全部挙げる
確認①:出てきた原稿に【要確認】が1つもなければ、疑ってください。AIが数字や条件を推測で埋めています。⑦で挙がった「推測で埋めた箇所」は、自分の言葉で書き直すか、消してください。
スライドにする一言:原稿ができたら、パワーポイントでもGoogleスライドでもCanvaでも、白地に黒の大きな文字で1枚ずつ貼るだけで足ります。デザインに時間をかけないでください。休憩所の壁で読めることのほうが大事です。
【手順3・裏技】普通は”伝わるように書き足す”。先に”読み違えさせる”と一気に終わります(7分)
- 所要時間:7分(貼る1分+読み違いを見る3分+直す3分)
- 入力:手順2の5枚の原稿
- 出力:読み違いが消えた5枚
- 手作業なら:社員に配ってから、1か月かけて読み違いに気づく
普通は、伝わるか不安になると言葉を足します。足すほど長くなり、長くなるほど読まれなくなります。ここを逆にします。配る前に、AIに社員役をやらせて、わざと読み違えさせてください。 読み違いが出た3〜4か所だけ直せば、終わります。
2本目の指示文です。手順2の原稿を貼ったあと、同じ画面でそのまま続けて使ってください。
今作った5枚を、次の3人になりきって読んでください。
Aさん:現場歴20年の職人。お客さんに喜ばれることが好きで、細かいルールは面倒だと思っている
Bさん:入社3か月の新人。業界の言葉がまだ分からず、社長に聞き返すのが怖い
Cさん:週3日勤務の事務パート。現場には出ないが、お客さんからの電話を受ける
それぞれについて、次の3つを答えてください。
①この5枚を読んで、自分は明日から何をすると受け取ったか(本人の言葉で1〜2行)
②社長の意図と違う受け取り方をしそうな箇所と、その理由
③この5枚に書いていないが、現場で迷いそうな場面を1つ
最後に、3人の読み違いをなくすために直すべき箇所を、多くても4か所に絞って、書き換え案を出してください。書き足して長くするのではなく、言葉を置き換える形で出してください。
読み違いの型と直し方
| 読み違いの型 | ありがちな例 | 直し方 |
|---|---|---|
| 程度の言葉 | 「なるべく確認する」→ 急いでいる日は確認しない | 「材料を使うときは確認してから」のように、場面で線を引く |
| 気持ちの言葉 | 「お客様第一で」→ だから無料でやった | 「お客さんに言う言葉」をそのまま書く |
| 例外がない | 「追加作業はしない」→ 掃除もしてはいけないのか | 「やってよいこと」を1つ並べて書く |
| 担当があいまい | 「連絡する」→ 誰が、誰に、いつまでに | 「職人が、社長のLINEへ、その日のうちに」と3つそろえる |
| 禁止だけ | 「サービスと言わない」→ では何と言えばいいのか | 代わりに言う一言を横に書く |
| 自分ごとにならない | 現場の話だから事務は関係ない | 5枚目に「電話を受けた人」の動きを1行足す |
確認②:AIが出した書き換え案のうち、採用するのは4か所までにしてください。全部採用すると、また長くなります。3人の①の答えが、社長の言いたいことと同じ1行にそろっていれば完成です。
【手順4】朝礼は5分、配って貼って終わりにしてください(3分)
- 所要時間:準備3分(印刷とLINE送信)+朝礼5分
- 入力:完成した5枚
- 出力:全員の手元と壁に、同じ5枚がある状態
- 手作業なら:毎週30分の朝礼
朝礼5分の配り方台本(◯だけ差し替えてください)
「今月の方針を5枚にしました。先に配ります。(全員に配る)
今月の一言は、1枚目の◯◯です。理由は2枚目に書いてあります。
4枚目の、言わない言葉だけ、声に出して読んでください。(1人に読んでもらう)
迷ったら5枚目を見てください。それでも迷ったら、5枚目の3つのときだけ電話をください。
最後に1つだけ聞きます。◯◯さん、明日、追加の作業を頼まれたら、何と言いますか。」
最後の質問が、いちばん大事です。答えられなかったら、叱らずに「3枚目を見てください」とだけ言ってください。答えが5枚目の言葉と同じなら、伝わっています。
朝礼でやること・やらないこと
| やること | やらないこと |
|---|---|
| 先に紙を配ってから話す | 紙を配らずに話し始める |
| 1枚目の一言を、そのまま言う | 5枚を最初から順に読み上げる |
| 4枚目を社員に声に出して読んでもらう | 先月の失敗をした人の名前を出す |
| 最後に1人に1つだけ質問する | 「分かった?」と全員に聞く |
| 休憩所の壁と社員のLINEグループに同じ5枚を置く | 社外の人も入っているグループに流す |
| 翌月の朝礼で、先月の5枚を1分だけ振り返る | 毎月まったく新しい方針を増やしていく |
確認③:LINEに流すときは、画像にして送ってください。長文の文字で流すと、スマホでは読まれません。
配る前に、4か所だけ確認してください
配ったあとでは直せません。この4つだけ、目で追ってください。
1. 数字が全部、自分の口から出たものか。目標件数、金額、日数。AIが埋めた数字が1つでも残っていたら、その場で消してください。数字はAIに決めさせない、これだけは例外なしです
2. 2枚目に、人の名前が入っていないか。社員の名前も、お客さんの名前も入れません。「先月、ある現場で」で十分です
3. 5枚目に「社長に電話するのは、この3つだけ」が残っているか。ここが消えると、電話は減りません。この5枚の背骨です
4. 立ったまま10秒で1枚読めるか。自分でA4に印刷して、壁に貼って、2歩下がって読んでください。読めなければ、文字を大きくして言葉を削ります
やってはいけない、4つの配り方
1. 叱るための5枚にしない。「◯◯さんのミスで」と書いた紙は、その日から誰も見返さなくなります。責める紙ではなく、迷ったときに助ける紙です
2. 根拠のない数字や強い言葉を入れない。「売上2倍」「ミスゼロ達成」のような、社長が決めていない目標や言い切れない言葉は書きません。守れない数字が1つあると、残りの4枚まで守られなくなります
3. 社員の個人情報・給与・お客さんの名前や住所をAIに入れない。手順1で渡すのは、会社の方針と出来事の中身だけです。お客さんは「ある飲食店」、社員は「現場の職人」まで。人から預かった情報を入力欄に貼らない、これは守ってください
4. 5枚を超えない、毎月方針を増やさない。伝えたいことが2つある月は、1つを来月に回します。積み上がるのは綴じた紙であって、今月守ることの数ではありません
一人で回らないときは、ここで止まっています
手順どおりにやっても、手が止まる場所はだいたい決まっています。手順1の「迷ったときの判断基準」が書けない、という場所です。
社長の判断は、社長にとっては当たり前すぎて、言葉になっていません。毎日自然にやっていることほど、書こうとすると出てこないものです。ここは、誰かに横から聞いてもらったほうが早く出ます。
この記事の中盤に置いた無料の7大特典(AI超入門、話すだけ音声入力、コピペで使えるプロンプト15選ほか)は、その「言葉になっていない判断」をしゃべって文字にするところから使えます。先にそちらを受け取って、音声入力で話しながら6行を埋めるのがいちばん早い進め方です。
それでも一人で進まない方のために、AIスモビジ実践会をやっています。動画を見て終わりにならないよう、業務の棚卸しからグループで伴走する形です。パソコンが苦手な方でも、AI以前のところから一緒に整えます。社員の方も一緒に使えるところまで進めます。ただし、本気で自社を変える人だけに来てほしいと思っています。誰でも歓迎ですとは言いません。
今日の道具を全部使い切ると、明日あなたの手元には、来週の朝礼で配れる5枚があります。材料の6行、整えた5枚、読み違いをつぶした書き換え、配り方の台本。来週の月曜、朝礼は5分で終わり、休憩所の壁に5枚が貼られます。木曜に現場から電話が来ても、それは「5枚目の3つ」のどれかです。社長の口から「前にも言ったよね」が出る回数が、その週から減っていきます。
まとめ|来週の朝礼1回で、試してください
今日の話を、短くまとめます。
- 社員が方針を守らないのではなく、方針が社員の手元に残っていなかった
- 口で言ったことは、聞いた人の数だけ別の話になり、1週間で消える
- 現場の「ついでにやっときます」月2件で、年48万円が利益から消える
- 作るのは材料6行 → 5枚 → 読み違いつぶし → 朝礼5分。合計25分で終わる
- 5枚目には「社長に電話するのは、この3つだけ」を入れる。ここが電話を減らす
今日やることを1つだけ決めてください。スマホに3分、今月いちばん伝えたいことを話しておく。それだけです。5枚にするのは、そのあとで間に合います。
30分熱く語って、翌週に「前にも言ったよね」と言う。その繰り返しで終わるのは、社長の判断が社長の頭の中から出ていないからです。紙にした瞬間、社長がいない現場でも、社長の言葉のまま判断が回り始めます。
やるかやらないか、それだけの話です。話すより、配れ。
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